厚沢部町の「ふきんこ」「かたっこ」「つぼっこ」


2015年秋号は厚沢部町の食生活改善協議会の皆さんにメークインを使った料理と、地元の前田農園さんにはヤマゴボウ生産について伺いました。

厚沢部

ふきんこもちの独特の食感。かたっこ、つぼっこのお話。地域の農産物を上手に活かしてきた食文化の豊かさを学ぶことができました。ヤマゴボウの美味しさ!今年もまた体験したい!

厚沢部はメークイン発祥の地

厚沢部町では大正14年、檜山農事試作場で、英国から輸入したメークインの栽培に国内で初めて成功しました。それから長年にわたり品種改良に取り組んできたことで、ジャガイモなどを栽培する道内指折りの優れた技術が定着したそうです。新函館農協厚沢部基幹支店の敷地には、昭和51年に建てられた「メークイン発祥の地」の記念碑があります。今回は厚沢部町食生活改善協議会の皆さんにメークインを使った「ふきんこもち」の作り方を教えていただきました。

木村 厚沢部町にはジャガイモを使った「ふきんこもち」という料理があるそうですね。
石若雅子さん 子どもの頃におばあちゃんがいつも作ってくれた懐かしの味ですね。鉄板に釘で穴を空けて作ったおろし金で、皮をむいたジャガイモをすり下ろし、イモの絞りかすとデンプンで団子にします。汁に入れて食べさせてくれました。私は今でも自分で作っていますが、結構手間が掛かるので最近は作る人も少なくなりましたね。町内では65歳以上の人でなければ食べたことが無いかも知れません。
木村 どうして「ふきんこもち」と呼ばれているんでしょうか。
金谷友子さん すり下ろしたジャガイモを布巾で絞るんですよ。檜山地方の方言では、いろんな言葉の後ろに「こ」を付けるんです。「イモっこ」とかね。「こ」の付く食べ物と言えば「かたっこ餅」もあります。本州で言えば「べこ餅」です。檜山では「かたこ餅」や「かだっこ餅」と呼ぶ町もあります。餅粉7に米粉3の割合で、黒砂糖を加えて作ります。菊の花、鯛、松、梅などの模様を彫りこんだ木型に押して型を取るから「型っこ」なんです。昔は型を作る名人がいましたが、最近では手に入れるのが難しいですね。
石若 「つぼっこ汁」という料理もありますよ。厚沢部ではお正月に食べていました。ご飯を練ったお団子を野菜や油揚げと一緒に煮込んだしょうゆ味の汁物です。壺に入れて保存したのが由来とも言われます。お団子の形が壺に似ているという説もあるようです。
木村 厚沢部にはいろいろな郷土料理が伝わっているんですね。

ふきんこもちを作る!

石若 今日はふきんこもちを作ってみたいと思います。最初にメークインをすり下ろしてから、布巾できつく絞ります。かなり力が要りますが、絞り過ぎるとパサパサになって食感が悪くります。この絞り汁をボウルに入れて置いておくと、15分ほどで上澄み液とデンプンが分離してきます。
木村 汁の準備もありますね。
石若 煮干しと干し昆布でだしを取り、ゴボウとニンジンを入れて火にかけ、しょうゆで味を整えます。煮立ったところで鶏肉を入れます。布巾で絞ったメークインとボウルの底に沈んだデンプンを練り固めた「ふきんこ」を最後に入れて出来上がり!
木村 お団子はデンプンが固まって縁が透き通っていますね。表面にはメークインの繊維が浮き出て、北海道ではおなじみの「いももち」とは全然違う独特の食感がありますね。
石若 地域によっては魚のすり身やカマボコを入れる所もあるそうですよ。
木村 「ふきんこ」の食感とだしの効いた汁が寒い季節には、身体に染み渡りますね。

ヤマゴボウの産地を訪ねる

石若さんと金谷さんからは、厚沢部町が山菜の宝庫であること、清流の厚沢部川で釣ったアユはコケを食べて育つので泥臭さが無いので、とてもおいしいというお話しを伺いました。
そして、私が大好きな「ヤマゴボウ」を作っていることを教えてもらいました。ヤマゴボウの正式な名前はモリアザミと言います。キク科の植物で香りがとても強く、普通のゴボウよりも根が細くて小さいのが特徴です。だいたい長さは15㌢ぐらいで、太さは5〜6㍉です。早速、町内の富栄地区にある前田農園さんを訪ねてみました。

木村 最近では国内で生産している地域が少なくなっていますね。
前田秀幸さん なかなか栽培が難しいんですよ。厚沢部町ではヤマゴボウの多くを名古屋に出荷しています。
木村 小さな葉が見えますね。
前田 7月上旬に種をまき、収穫は10月後半から11月になります。遅い時期に植えることで、植物が花を咲かせる「とう立ち」の前に収穫します。デリケートな作物なので栽培には神経を使います。出荷時期の判断も難しく、年によっては雪を掘り起こしながら収穫をしています。
木村 皆さんのおかげでおいしいヤマゴボウが食べられるんですね。
前田 出荷時にも太さや長さで細かい規格があります。栽培をあきらめる産地も多い中で、厚沢部町がヤマゴボウを守り通しています。
木村 ヤマゴボウは札幌などのスーパーで取り扱っていることがあります。皮はタワシで簡単に落とすことができ、生でもサラダにして食べることができます。風味が抜群で、軽くゆでてマヨネーズをつけて食べてもおいしいですよ。今年もヤマゴボウの収穫を楽しみに待ってます!

 

miyan33 について

木村 光江(みーやん)bambic.バンビック代表 北海道フードマイスターとして地産を活用したクッキング講師として活動の場を広げているみーやんです。 ・北海道らしい食づくり名人・野菜ソムリエ・雑穀エキスパート・日本デコ巻きずし協会 北海道支部代表 料理講師、レシピ開発、商品アドバイザー業務、食育講座の企画&協力、市町村のイベント司会/MCなどの仕事をしています。

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