故郷の味は「なんこ」と「漬物」歌志内編


公益財団法人北海道市町村振興協会に連載させていただいている「みーやんの道産食材を活かす方法」の14号目2015年春号は歌志内市の「なんこ」と「漬物」を取材させていただきました。

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かつて石炭産業で栄えた歌志内市では、炭鉱マンがビタミン欠乏に効くとして、馬の腸を味噌で煮た「なんこ」を食べていました。市内の空知炭鉱は、空知管内で最後まで残った坑内堀炭鉱で、平成7年に閉山しましたが、今でも懐かしい郷土の味覚として受け継がれているそうです。今回は「なんこ」が人気メニューという「道の駅うたしないチロルの湯」を訪ねました。そして歌志内にはもう一つ、人気の味があります。道内各地から多くの人が買い求めに来るという絶品の漬物です。

なんこを嫌いな人はいない?

道の駅うたしない・チロルの湯の店長・別府明野さんと、一番人気の漬物を作っている、市内の漬物名人・江畑初美さん(77)と布間玲子さん(76)にお話を伺いました。

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木村 歌志内の皆さんは「なんこ」を今でも良く食べるんですか?
別府さん 食べますね。歌志内でなんこが嫌いという人は聞いたことがありませんよ。一昔前までは、どの家庭でも日常の食卓に登場したと思います。最近は年末年始や、食べたくなった時に作る感じでしょうか。
江畑さん 炭鉱があった時代は、リヤカーを引いて馬の腸を売りに来る人がいました。馬肉よりも安いので母がよく作ってくれましたねえ。
別府さん 隣町の人は食べたことが無いと言いますよ。でも、歌志内では、今でも肉屋さんで馬の腸を売っています。需要があるんですね。

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木村 作り方を教えてください。
別府さん 臭みを取るために何度も水を取り替えながら煮ます。煮込むのにだいたい6時間位はかかります。家中が臭うので大変ですよ。
タケノコ、コンニャク、野菜、うどんなど、家によって入れる具材が違いますが、馬の腸をみそで煮るところは同じです。ずっと昔は馬糞が詰まった状態の腸をそのまま売っていたので、ひどく臭かったとか。
江畑さん 最近は煮込み済みの腸を売っているので、1時間も煮込めば食べられます。ふるさとの味なので、墓参りや年末年始に帰省した人が道の駅にも食べに来ますよ。

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別府さん 私は道の駅の食堂で母から受け継いだ作り方を守ってきました。帰省するたびに「なんこが食べたくて帰ってきたよ!」って注文してくれる人も多いんですよ。
木村 食感はホルモンよりも柔らかく、肉厚だけど食べやすいんですね。独特の風味が印象強くて、また食べたくなるおいしさですね。

漬物が道の駅を救う?

木村 道の駅では漬物を買い求めるお客さんが多いと聞きましたが。
別府さん お客さんの半分くらいは漬物が目当てだと思いますよ。
木村 どうして漬物が道の駅の名物になったんですか?
別府さん 道の駅は10年前に指定管理になりました。歌志内は農家が少ない地域で、販売する農産物がほとんどありません。ある日、指定管理者になった会社の経営者が、休憩時間に江畑さんと布間さんが持ってきてくれた漬物を食べて「ものすごくおいしい!」と驚きました。そこで2人の漬物名人にお願いして、道の駅で商品化することになりました。
木村 お二人は家庭でどんな漬物を作っていたのですか?
江畑さん 主にたくあん漬けやニシン漬けですね。
布間さん 親から教わって若い頃から作っていました。今日はマスのはさみ漬けからどうぞ。

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木村 厚切りのダイコンとマス。食べ応え満点ですね。ニンジンとショウガの千切りと一緒に漬け込まれていて、とても良い味ですね。
別府さん ハンバーガーのような厚みで、食感も見栄えも良くて人気があります。お二人が作る漬物は93種類もあるんです。女性に人気の大根柚子の香り漬けや、着色料を使っていないので、しょうゆの色をしている七福神漬け、通年販売の玄米漬けも人気です。添加物を一切使わないのがお二人のこだわりです。
木村 極上漬けに興味があります。

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布間さん 漬物はほぼ毎日漬けていますが、極上漬けは10月上旬からダイコンを干し、11月から漬け始めます。玄米漬け、粕みそ、べったら漬けの3種類を3000本、樽で漬けて、雪中貯蔵しています。
江畑さん 玄米漬けは道内産のゆめぴりかやオホーツクの塩、粕みそ漬けは、増毛町の国稀酒造の酒粕と旭川市にある「味楽屋」のみそを使うなど素材にもこだわっています。
別府さん 漬物を樽で購入する人も多く、食事の時だけじゃなく、お茶うけとしても人気がありますよ。
木村 漬物作りは力仕事もありますね。70代でも現役。凄いです!
別府さん お客さんの期待が余りにも大きいので、従業員も技能継承に尻込みしています。「何か味が変わったね」とか言われたらと不安なんですよ。
木村 おいしい漬物を味わうために、お二人にはまだまだ頑張って欲しいですね。炭鉱のまち歌志内の故郷の味「なんこ」と、おいしい漬物、愛情いっぱいの忘れられない味になりました。
北海道は雪が融けてこれからが一番良い季節を迎えます。皆さんも炭鉱で栄えた空知を訪ねて、古き良き文化を体験してみてはいかがでしょうか。

miyan33 について

木村 光江(みーやん)bambic.バンビック代表 北海道フードマイスターとして地産を活用したクッキング講師として活動の場を広げているみーやんです。 ・北海道らしい食づくり名人・野菜ソムリエ・雑穀エキスパート・日本デコ巻きずし協会 北海道支部代表 料理講師、レシピ開発、商品アドバイザー業務、食育講座の企画&協力、市町村のイベント司会/MCなどの仕事をしています。

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